2009年7月 9日 (木)

幼稚園でいけばな教室

 満々と水をたたえた田んぼに、青々とした稲の苗が整然と並んでいます。目の前に田んぼが広がる恵まれた環境。この4月から、岐阜の清流みずほ幼稚園とわかくさ幼稚園で、園児を対象とした親子いけばな教室をはじめました。
 コップやお猪口、空き瓶など、自宅にある小さな器を持ってきてもらい、オアシスを入れて花器を作ります。オアシスを切るのはお母さん、水を含ませて器に入れるのは子どもたちの役目。はじめてのレッスンの時に教えたオアシスの浸け方を、二回目には、すでにしっかり覚えてくれていた子どもたち。バケツに張った水にオアシスを浸けるのですが、オアシスを手で無理やり水に押し付けると、空気が入ってしまいオアシス全体に水が滲みわたりません。そこで、バケツに張った水にそっとオアシスを浮かべ、全体が沈む(全体に水が滲みわたる)までしばらく待ってから、取り出すのです。
 子どもたちは、レッスンを心待ちにしてくれているようで、「レッスンの準備をするから手伝って」と声をかけると、我先に駆け寄ってきて手伝ってくれたそうです。
 さて、今月の花材は、赤い実のスグリと、白い花のスプレーマム。「お父さんやお母さんは、みんなより背が高いでしょ。みんなも、背の高さが違う。お花も同じようにいけるんだよ。木は大きく、白い花は小さくいけよう」「赤い実がかくれんぼしているときは、手前の葉を切って、見せてあげてね」などと、できるだけ幼稚園児にも分かるような説明を心がけています。
 幼稚園の先生から、こんな報告を受けました。私は毎回レッスンの最後に、「家に帰ったら、必ず花に水をやって大事にしてね」と言っているのですが、ある男の子は、自分の作品だけでなく、家の中に飾ってある他の花の世話も進んでしてくれるようになったとのこと。また、レッスンを受けていないお父さんに、自慢げに作品の説明をしているそうです。お父さんは、「私が子どもの頃は、花に目を向けることなんてなかった」と苦笑しながらも、喜んで下さっていたんですって。
 確かに、花に無関心だと、たとえ花が枯れていても気づきません。一輪の花の輪郭を際立たせ、その移ろいに目を向けるいけばなを学べば、観察力も鋭くなります。幼いながらも、命の美しさに目を向け感性をしっかりと育んでくれているのですね。幼稚園児を教えるのは、私にとって今回がはじめて。私自身、学ぶことの多いひとときです。

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2009年7月 6日 (月)

DO YOU KYOTO? ネットワーク

 地球規模で進む温暖化をくいとめるため、京都の伝統文化を担う若手有志が「DO YOU KYOTO? ネットワーク」を立ち上げました。
 地球規模で進む環境破壊に対して「何かしなければ」という危機感は、皆が共有しています。しかし、次の一歩を踏み出せずに、立ち止まっていませんか。このまま環境破壊が進めば、四季の移ろいを大切にする伝統文化自体が存在できなくなります。そう、私たち、伝統文化の担い手にとって、環境破壊は身近な脅威なのです。
 そこで、自然と共生する持続可能な暮らしを実践してきた街、京都から声をあげようと、伝統に携わる同世代の仲間が、今朝、未生流笹岡家元邸に集い、「DO YOU KYOTO? ネットワーク」を発足。メンバーがそれぞれの分野で、環境に対する取り組みを進め、子どもたちにとって、こんな大人になりたいと思えるようなお手本を目指しています。
 今後、現在のメンバー(呼びかけ人)がそれぞれの仲間に呼びかけ、地球温暖化防止に向けた取組の輪を広げていきます。また、本日の発足会に激励に来ていただいた門川大作京都市長には、当ネットワークの顧問にご就任いただきました。これからは、京都市の地球温暖化対策室とも連動しながら、活動を広げていきます。
 なお、来年2月のDO YOU KYOTO? デー(京都議定書の発効した2月16日)前後には、イベントを予定。地球温暖化防止に向けた新たな取り組みが、今、始動します。 
 
                      「DO YOU KYOTO? ネットワーク」世話人 笹岡隆甫

「DO YOU KYOTO? ネットワーク」呼びかけ人

 井上葉子 京舞井上流
  大谷祥子 筝曲家
 笹岡隆甫 未生流笹岡次期家元
 茂山宗彦 大蔵流狂言師
 諏訪蘇山 陶芸家
 千 宗員 茶道表千家若宗匠
 千 宗屋 茶道武者小路千家若宗匠
 橋本忠樹 観世流能楽師
 羽田登喜 友禅作家
 三木啓樂 漆工芸師
 藪内紹由 古儀茶道藪内流宗家若宗匠

「DO YOU KYOTO? ネットワーク」 顧問

 門川大作 京都市長

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2009年7月 5日 (日)

旧甲子園ホテル

 本年度の武庫川女子大学での講義を、無事終えました。武庫川女子大学は、3年前の2006年に女子大としてはじめて建築学科を開設。旧来の座学中心の教育ではなく、演習を豊富に取り入れ、各地の名建築を訪ねるフィールドワークも頻繁に開催。欧米型のスタジオ教育をめざしています。
 武庫川女子大学建築学科の魅力は、なんと言ってもそのキャンパス。フランク・ロイド・ライトの弟子である遠藤新による「旧甲子園ホテル」を校舎に転用しているのです。甲子園ホテルは、日本におけるライトの影響下に生まれた作品の中でも最高傑作と言われている名建築。この生きた教材の中で学ぶことができる学生たちは、同じく建築を学んだ私から見てもうらやましい限りです。
 さて、私が初年度から担当している「いけばな」は、1年生が空間表現を学ぶ演習の一環です。シンプルな水盤を使った計10数時間にわたる実習を経て、最終日の授業では、背丈ほどの大きな器にいける「大作いけばな」に挑戦します。学生たちは、キャンパス内の好きな空間を選んで、作品を飾ります。吹き抜けに置いて上階から俯瞰させたり、柱列を作品の背景に設定することによって建築のディテールの美しさに目を向けさせたり。いけばなの存在によって、建築の見方も変わります。
 授業の終わりは、以前、学内で開催されたシンポジウムのエピソードで、講義を締めくくりました。「いけばなとは、自分を前面に出すのではなく、逆に自分自身は一歩引いて、花の個性を引き出すこと。それでも、自分の色は作品に残ってしまう。消そうとしても消せないのが本当の個性だ」と私が話したところ、ご一緒した女優の菊川玲さんや建築家の永山祐子さんらと意気投合。「自分の押し付けではなく、周囲の環境やその建築の使い手のことを第一に考えるのが、私のめざす建築家だ」と。初年度に担当した学生は、今年もう4年生。はたして学生たちは、どんな建築家になってくれるのでしょう。Dscf0043

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2009年6月28日 (日)

サントリーミュージアム

 大阪、天保山のサントリーミュージアムを久々に訪れました。目的は、サントリーミュージアムの設計者でもある安藤忠雄さんの建築展「対決。水の都 大阪vsベニス」。安藤さんの建築事務所に勤める友人の案内で、ゆっくりと会場をまわります。最近、ヴェネチィアで二つの現代美術館を手がけた安藤さんは、日本の水の都である大阪の復権をめざしています。大阪大学・神戸大学の学生さんの協力で作られた全長20mに及ぶ中之島の模型では、人道橋の建設や地中の再開発、壁面緑化などさまざまな提案が見られます。
 個人の住宅から大規模な美術館に至るまで、世界各国での壮大なプロジェクトの数々が会場を埋め尽くしてます。観る者を楽しませる独特の発想はもちろん、それらのプロジェクトを次々と実現させてきたバイタリティと手腕に、改めて脱帽です。Dscf0007

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2009年6月24日 (水)

青蓮院門跡

 イメージキャラクターを務めさせていただいている小川珈琲さんの雑誌広告の撮影で、青蓮院門跡に伺いました。昨夜は、ちょっと窓を開けようものなら雨が部屋の中に吹き込んでしまうような強い雨風でしたが、明け方には次第に弱まり、昼前には青空が広がって見事な晴天となりました。
 雨にぬれ、一層生き生きとした緑の中での撮影は、とても気分のよいものでした。縁側に座って庭の景色を眺めながら、珈琲の香りにほっと心を和ませる。ふと後ろを振り返れば、ダイナミックに描かれた木村英輝さんの蓮の襖絵。ちょっとした非日常を味わうことができました。
 さて、この青蓮院門跡は、毎年のように「いけばなパフォーマンス」を披露させていただくなど、私にとってご縁の深いお寺で、京都を訪ねられる観光客の方にもよくお勧めしています。
 見所の一つが、秘仏であるの青不動。高野山の赤不動、三井寺の黄不動とともに、日本三不動画の一つです。普段、本堂におまつりしておられるのは複製ですが、今年の9月には、創建以来はじめて本物を青蓮院門跡でご開帳なさるとのこと。錦秋の季節に、再びお参りしたいものです。
 青蓮院門跡までは、我が家から車で数分。自宅の周りには、観光名所があふれており、ちょっと足を伸ばせば、素敵な空間に身を置くことができる。京都は、やはり魅力的な街だなと改めて感じました。

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2009年6月22日 (月)

東京大学福武ホール

 国立西洋美術館の鑑賞後、不忍池から三四郎池のあたりを散策し、安藤忠雄さん設計の東京大学福武ホールまで足を伸ばしました。ここには、表参道のカフェ・ベルトレの姉妹店、UTカフェ・ベルトレルージュが入っています。昼食を取りながら、東大の構内を眺めていると、長い年月を経た太くて大きな木が多いことに気づきます。大きな木がそばにあると、自然に抱かれているような、大きな存在に守られているような安心感があります。歴史のあるキャンパスならではの魅力ですね。
 梅雨の晴れ間に、気持ちのよい時間を過ごすことができました。Dscn2310

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国立西洋美術館

 ル・コルビュジェの小展覧会があると聞きつけて、早起きして、国立西洋美術館に行ってきました。日本で実現したル・コルビュジェの唯一の作品です。20世紀を代表する建築家、ル・コルビュジェ。彼の唱えた近代建築の五原則「ピロティ」「屋上庭園」「自由な平面」「水平連続窓」「自由な立面」は、明快で、あまりに有名です。 
 まずは、前庭の彫刻が私たちを迎えてくれます。5m以上の高さをロダンの「地獄の門」は必見です。向かい合って建つ前川國男設計の東京文化会館との対比も見所の一つ。
 さて、正面のピロティを抜けて、まず通されるのは、三角錐の屋根を持つ吹き抜けの19世紀ホール。ここが建物の中心にあたります。スロープに導かれて、19世紀ホールをロの字型に取り囲む展示室へ。展示室の天井には、自然光を取り込むためにデザインされた直方体の大きな箱、ライトボックスが吊り下がっています。模型を見ると、屋根の上に三角錐や直方体が突き出た入り組んだ造形に見えますが、実際の建築はすっきりと洗練された印象を与えてくれます。ただ、屋上庭園や正面に設けられた二階への階段など、立入禁止の空間があったのが、少し残念でした。
 ユニテ・ダビタシオンを実寸大で再現して驚かせてくれた2007年の森美術館でのル・コルビュジェ展とは規模も趣旨も違いますが、実際の建築を見ながらコルビュジェの軌跡を辿るのは楽しい試みでした。Dscn2308_4

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2009年6月20日 (土)

放送日変更のお知らせ

先日お知らせした日本テレビ「スッキリ!!」の放送予定日が変更になりました。

   6月22日(月)放送予定
        ↓
   6月29日(月)放送予定

放送時間は、午前8:00~10:25の間の約15分です。

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2009年6月15日 (月)

動く襖絵

 山科の毘沙門堂へお参りしました。JR山科駅から北へ、坂をどんどん登っていくと、毘沙門堂門跡に到着します。山科盆地を見下ろす山腹に位置し、木々に覆われた自然の豊富な山寺です。
 仁王門へと向かう長い階段の両脇は、青紅葉で埋め尽くされ、その青紅葉のトンネルをくぐって本堂へと向かいます。本堂に飾られているご本尊の毘沙門天は、伝教大師のご自作で、比叡山延暦寺根本中堂のご本尊薬師如来の余材で刻まれたと伝えられています。
 このお寺の見所は、動く襖絵。狩野探幽の養子である狩野益信による宸殿の襖です。襖から1mちょっとの距離を保ったまま、襖に平行に右から左へとゆっくり移動してみましょう。むむっ、なんだか襖に描かれた机の形が変形しているみたい。もう一度、襖の右側に戻って、ゆっくり左へと移動します。今度は机の上に置かれた硯を見てみると、どんどん縦長に変形していきます。では、対面に描かれている舟の舳先も見てみましょう。今度は、襖の左から右に移動します。手前を向いていた舳先が、いつのまにか向こうを向いているのです。
 宸殿内に置かれていた、円山応挙筆の鯉の衝立にも同じ手法が使われていました。衝立も前を、左から右に移動すると、左斜め手前を向いていた鯉が、正面を向くように見えるのです。
 何度も襖や衝立の前を往復する私たち。楽しい趣向で、なかなか見ごたえがありました。

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2009年6月12日 (金)

平安神宮のハナショウブ

 平安神宮の神苑に行ってきました。カキツバタの花期は終わっていましたが、今、ハナショウブが見ごろを迎えています。ハナショウブのすぐ隣には、白やピンクの睡蓮や、黄色の河骨の姿も。
 さて、カキツバタとハナショウブは、ともにアヤメの仲間。「いずれアヤメかカキツバタ」といった具合に、物の区別のつけがたいたとえとして使われます。そこで、私たち華道家は、アヤメ科の植物を、こうやって見分けます。
 まずは、自生する場所の違いです。水の中に咲くのがカキツバタ。陸に咲くのがアヤメ。水と陸との境目、水際に咲くのがハナショウブ。
 また、花びらのつけ根を見ても分かります。白いのがカキツバタ、黄色いのがハナショウブ、そして網目状の模様があるのがアヤメ。
 ちなみに、端午の節句で、菖蒲湯に使われるショウブは、アヤメ科ではなくサトイモ科。よく混同しがちですが、こちらは大きな花をつけるわけではありません。でも、せっかくですから花を飾りたい。というわけで、私は、端午の節句に、ショウブの代わりに同じ読みのハナショウブをいけています。
 さて、平安神宮では、明日から二日間、献花展が行われています。境内に入ってすぐ左手にある額殿という建物で、観覧は無料です。ぜひご覧下さい。Photo

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