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2009年8月18日 (火)

五山送り火

 8月16日午後8時。点火された火が少しずつ伸びていき、「大」の字が鮮やかに描かれます。
 今年、生まれてはじめて、わが家を離れて、五山送り火を眺めました。
 わが家に隣接する家元の稽古場「未生会館」は、大文字が目前にせまる絶好のロケーション。私は、生まれてから毎年欠かさず、この未生会館の屋上から大文字を拝んでいます。ところが、今年はKBS京都テレビの五山送り火生中継のゲストに呼んでいただき、御所の隣にあるKBS京都の屋上から大文字を眺めることになったのです。
 ご一緒した佛教大学の八木透先生の解説の中で、とても興味深いお話がありました。
 京都の東に位置する大文字と向かい合うように、京都の西に左大文字があります。この西側にある大文字を「左」大文字と呼ぶのは不思議だと、先生はおっしゃったのです。京都では、南面した天皇から見て左右を決めます。ですから、左京区は東に、右京区は西にあります。では、なぜ大文字では、左右が逆転するのでしょう。
 左大文字は、東の大文字を水に映した形になっているそうです。それが、ちょうど左手で大の字を書いたように見えるので左大文字と呼ぶのだろう、というのが八木先生の見解でした。
 わが家は京都の東にあるので、大文字は目の前で迫力がありますが、左大文字はかなり遠くに小さく見える程度。それに対して、KBS京都は、京都の真ん中当たりに位置するので、五山がそれぞれ同じくらいの距離感で眺められます。京都の東から北、西へと、反時計回りに点火されていく五山送り火を、今回別の視点から見せていただき、都市全体を立体的に使った送り火を生み出した先人の創意に、改めて畏敬の念を覚えました。三方を山に囲まれた京都盆地の地形を利用した見事な設計。このように都市全体を贅沢に使った行事を、今、計画しても、きっと実現不可能でしょうね。また、これだけのものを続けてこられた保存会の皆様の努力も並大抵ではないはずです。
 夜空を焦がす炎にそっと手を合わせ、先祖の霊を送る五山送り火。火の持つ不思議な魅力が、われわれと亡くなった家族との距離を少しの間ぐっと縮めてくれます。送り火が消えると、亡くなった祖母の霊もあの世へ帰って行くのだなと、少し寂しく感じます。
 5年ほど前から、この送り火の日に、稽古場の仲間や友人が集うのがもう一つの楽しみになりました。送り火が終わると、宴会の始まり。私にとって、懐かしいみんなの顔に会える嬉しい機会でもあります。
 ご参加下さった皆様が書いてくださったブログも、ぜひご覧下さい。

2009年 関谷江里さん http://erisekiya.cocolog-nifty.com/kyototokyo/2009/08/post-eedd.html
2008年 関谷江里さん http://erisekiya.cocolog-nifty.com/kyototokyo/2008/08/post_8ff4.html
2007年 麻生圭子さん http://www.keiko-aso.com/blog/log/kyoto/eid1750.html
2007年 原田伸郎さん http://noburin-channel.com/blog/log/eid150.html

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