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2009年9月

2009年9月26日 (土)

京都駅ビルでライブ

 明日、9/27 (日) 16:00~20:00、京都駅ビル室町小路広場で、私の後輩がコーディネーターをつとめるライブが行われます。入場無料。
 詩人のchoriくんや、ジャズシンガーのMAKOTOさん、以前テレビ番組でご一緒したアコースティックギターのわたなべゆうさんなど、私の友人も多数参加されますので、ぜひご覧下さい。

 京都北ロータリークラブpresents
 ビッグイシュー・サポートライブ~The Change is in your pocket~

http://blog.livedoor.jp/bigissue_supportlive/

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2009年9月21日 (月)

両親に感謝

 今日のお昼は、未生流笹岡京都支部・大阪支部の役員の先生方と、京都全日空ホテルの中華に行ってきました。8月2日に行われた未生流笹岡創流90周年記念花展の打ち上げだったのです。今日は、くしくも、私の35回目の誕生日。5年ごとの流派の周年と、私の誕生日の節目が、重なっているのです。今日は、記念花展を支えてくださった役員の先生方への感謝するのが目的だったのですが、逆に先生方から誕生祝いの大きな花束をいただいてしまいました。
 5年後、流派と私は、どのように進化を遂げているのでしょう。次の周年に向けて、ますます精進したいものです。
 夕方は、スペシャルトークショー「新風塾+α」にゲスト出演。新風館とα-STATIONのコラボレーションで、シルバーウィークの5日間、「衣」「食」「アート」「音楽」などをテーマに、日替わりでゲストを迎えて楽しいおしゃべりが繰り広げられています。今日のテーマは、「アート」。私は、ナビゲーターの慶元まさ美さんとともに、作品写真を交えながら、いけばなの魅力や考え方についてお話しました。
 トークの最後には、サプライズが。スタッフの皆さんがバースデーケーキを差し入れて下さり、お客様とともに誕生日を祝っていただいたのです。イベント終了後には、慶元さんから、そして、お仕事の合間に駆けつけて下さった谷口キヨコさんからも、誕生日プレゼントをいただき、感無量。
 家に戻ってから、お決まりの家族全員での誕生会です。こんなに多くの皆さんに祝っていただいた誕生日ははじめてです。お祝いいただいた皆さん、今日は、ありがとうございました。
 誕生日のたびごとに、この一年間、少しでも成長したのだろうかと考えさせられます。日々の雑務に追われて、ただ無難に仕事をこなすだけといった生き方になっていなかっただろうかと。同じ一日は二度とやってきません。一期一会の気持ちで、一日一日を大切に生きなければ。
 誕生日は、自分の日々の過ごし方を見直す、よい機会ですね。
 さて、2年前の誕生日から、はじめたことがあります。それは、両親に花束を贈ること。きっかけは、家内でした。自分の誕生日に、「生んでくれてありがとう」という気持ちを込めて、両親に花を贈っていると聞いたからです。誕生日は自分が祝ってもらうだけでなく、両親に感謝する日でもあるのですね。

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2009年9月19日 (土)

21_21 DESIGN SIGHT

 東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「SENSEWARE」展に行ってきました。日本の繊維産業の潜在力を世界に周知させる目的で、4月にミラノのトリエンナーレ美術館で開催された「TOKYO FIBER ’09」の凱旋展です。
 「21_21 DESIGN SIGHT」は、安藤忠雄さんによる建築。地上は、エントランスと受付だけで、ギャラリーは地下に設けられています。特徴的な横長の窓から覗く植栽の緑が、早くも私たちをワクワクさせてくれます。
 階段を降り、ギャラリーへと向かいましょう。まず、私たちの目を引いたのは、傾いた黒布に描かれた虹色の「SENSEWARE」の文字。この文字は、超撥水加工された黒布の上に染み出す水滴で描かれています。水滴に照明が反射し、虹色に輝いているのです。水滴が一定以上の大きさになると、斜面を転がり落ちるのが、また一興。
 続いて、いずれも遊び心にあふれた楽しい作品たちが私たちを迎えてくれました。
 制御された光ファイバーを埋め込んだコンクリートをブロック状に積み上げて、光を通す半透明の空間を提案した建築家・隈研吾さんの作品。クルマのファサードが伸縮する柔らかい皮膜で覆われ、クルマの表情が変わる「笑うクルマ」。繊維をランダムコイル状に成形し、95%が空気のブロック形のおもちゃを考案したアートディレクター・佐藤可士和さんの作品。炭素繊維を用いて、たわみのない片持梁のロングアームの照明器具をつくった建築家・青木淳さんの作品。
 中でも、私が最も気に入ったのは、植物アーティスト・東信さんによる「苔時間」という作品。ギャラリー内と三角形のサンクンコートに敷き詰められた真っ白な床面に、緑の苔が、池のように配置されています。植物由来で生分解性を持つ繊維でつくられた土に還るプランターを用いた作品。白い床面に、みずみずしい苔の緑が映え、とても気持ちのよい美しさでした。家の中に小さな自然を取り込む、京町家の坪庭のような心地よさがそこにはありました。
 21_21 DESIGN SIGHT内は撮影禁止でしたので、展覧会の様子は、ホームページでご覧下さい。  

http://tokyofiber.com/ja/2009/09/-open.html

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2009年9月 9日 (水)

いけばなで街づくり

 「いけばなの視点で街づくりを考えてみたら?」
 ボストンにご一緒した京都府立大学の宗田好史先生から、こんなアドバイスをいただきました。
 宗田先生は、建築の視点から街づくりを考えておられます。近年の京都の町家再生を単なる保存として捉えるのではなく、町家が育んだ伝統や文化に注目し、街づくりに生かすべきだと提案してこられました。京都人は町家が減ってきてはじめて、町家が持つホンモノの豊かさに気付きました。確かに現代建築と比べると機能的ではないかもしれませんが、不便な中で、生活の中に季節を巧みに取り込み、豊かに過ごす暮らし方を生み出しました。そして、家族や自分の住む場所に対する愛着や誇りを育んできたのです。
 私は、大学で建築を専攻していましたが、建築ではなく、いけばなの道を選びました。いけばなに建築以上の価値を感じたのなら、いけばなで街づくりを考えるべきだと、宗田先生はおっしゃっいます。
 さらに加えて、こんなアドバイスも。
 「若い間は、片付ける必要はない。散らかせばよい。」
 自分の考えを上手にまとめようとしなくてもいい。言いっ放しでもよいというのです。なんとも心強い励ましの言葉です。
 私自身、一度は建築を志したのだから、いつかは、いけばなの似合う建築をデザインしてみたいと考えていました。しかし、先生は、建築を超えて、都市をデザインせよとおっしゃる。

 花を美しく輝かせるいけばなのテクニックは、われわれが美しく生きるためのヒントでもあります。自然の花をいつも目にする場所に飾るいけばなは、人間は自然とともに生きていること、人間も自然の一部であることを思い出させてくれます。家の中に持ち込んだ花の命の移ろいを見届けるいけばなは、われわれの死生観にも大きな影響を与えます。
 確かに、街づくりに生かせることがたくさんありそう。

 いけばなで街づくり。目下、私の大きな夢となりました。

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2009年9月 8日 (火)

ボストン紀行 その5

【最終日】

Dscf0333  早朝、ホテルの周りを散歩。我々が宿泊していたコロネードホテルは、客室からクリスチャン・サイエンス・チャーチ・センター(1973、I.M.ペイ)が見える絶好のロケーションでした。1894年に設立されたクリスチャン・サイエンス・チャーチを中心とする地区の再開発で、矩形のリフレクティング・プールが印象的です。
Dscf0366  開館時間に合わせてボストン現代美術館(ICA)(2006、diller scofidio + renfro)に向かいます。海に突き出た4階の展示室とホワイエを片持梁で支える独特のデザイン。その下方に吊り下がるように設けられているのは、階段状のコンピュータールーム。目の前にある海を最大限に生かした気持ちのよい建物でした。
Dscf0409  お昼まで少し時間があったので、姉妹都市提携50周年を記念した京都の展覧会が開かれているボストン美術館(Museum of Fine Arts)まで足を伸ばしました。ボストンで京都の作家さんの作品が見られるのは、自分のことのように誇らしいですね。館内を駆け足でまわりますが、ルノアールの「ブージヴァルの踊り」の前で、しばし立ち尽くします。I.M.ペイ設計のWest Wingに位置するGalleria Cafeで早めの昼食を済まし、早々にホテルに引き上げました。

【いけばなパフォーマンス】

 今日は、子供博物館と日本協会主催のレセプションが開催されます。その会場で、「いけばなパフォーマンス」を披露するのです。袴姿に着替えて、会場となる子供博物館へと向かいます。
 早速準備開始です。まずは、花器を会場に運び、オアシスを新しいものに交換します。花器は昨日と同じものを使いますが、花材に変化をつけることに。
 黒竹には、昨夜、子どもたちがいけてくれたレッド・オーク、ビバーナム、ユリ、かすみ草を使い、白竹の花材を新しく調達。昨夜、巻きつけていたアスパラガス・スマイラックスの葉がまばらで勢いがなかったので、代わりにパッション・フラワー(時計草)を。主材に選んだのは、観葉植物としても喜ばれるハート型をしたアンスリューム。赤と白のアンスリュームを上下左右に散らして形を整え、鮮やかな黄色のオンシジュームと松葉によく似た緑色の葉状枝を持つアスパラガス・ミリオクラダス、そこに面の素材であるセロームの葉を添えて完成です。
 実は、このセロームには、ひと悶着がありました。葉の大きさが25cmほどの葉を依頼していたのですが、前日、手に入ったのは葉の大きさが50cmを超える巨大な葉。これでは他の花とのバランスが悪いな、と思案していた所、ワークショップ会場に小さなセロームの鉢を発見。またまた無理をお願いして、そのセロームを2枚切らせていただけるようにお願いしたのでした。
 また、BGMはCDを用意しておいたのですが、現地で教えておられる金子純恵先生(筝曲山田流)がレセプションで演奏なさるとお聞きしたので、急遽コラボレーションをお願いすることに。快く承諾してくださいました。
Dscf0421 琴の演奏とともに、ステージがはじまります。京都の名産である竹で作った器に、ボストンの花たちをいけあげていきます。京都とボストンの友好を祝った大作いけばなをいけあげていきました。いけ終えた私が一礼すると、現地の皆さんから、大きな拍手を浴びました。
 「Lovely!」「Beautiful!」
 「私が日本語を教えている大学にも華道部があるけれど、これだけ本格的ないけばなを見たのははじめて。今日も何人か学生が来ているので、勉強させたい。」
 「ぜひまたBostonに来てください。私がコーディネートしますので。」
 「日本に住んでいたとき、テレビや雑誌で先生を見ました。ボストンで見られるなんて感激です。」
 などと、矢継ぎ早に嬉しい声がけをいただきました。
Dscf0435 たくさんの方が完成した作品の前で足を止め、観賞して下さいます。
 海外を訪れると、毎度のように、日本人以上に日本文化に詳しい方にお会いして驚かされます。今回、私がお目にかかったアメリカ人の中で最も日本文化に造詣が深かったのは、ボストン在住のお茶の先生でした。利休が、秀吉による小田原の北条攻めの折、利休が作ったと言われる「園城寺」に関して、「これは私の考えですが…」と自分なりの解釈をお話しくださいました。日本人は、教わったことを素直に学ぶのは得意ですが、そこに独自の視点を持って自分なりの考察を加えるのは苦手。国内で日本文化を極めようと精進することも大事ですが、海外の方の客観的な解釈を知ることで、自国の文化に対する理解は一層深まります。

【レッドソックス】

Dscf0441  夕刻、ボストン市内にある大リーグ・レッドソックスの本拠地フェンウェイパークで「ジャパンナイト」と銘打った試合前イベントが開催されました。元高校球児の繁隆夫京都市会議長が、岡島投手を捕手役に始球式を担当なさったのです。ただ、子供博物館でのレセプションが遅れたため、われわれは残念ながら始球式には間に合わず、試合途中からの観戦となりました。フェンウェイパークは、1912年に建てられた全米最古の球場です。一塁側が広く、三塁側が狭い、アシンメトリーのいびつな形状ですが、それが独特の味わいをかもし出しています。ボストンの皆さんのレッドソックスに対する熱狂の中に身を置きながら、最後の夜は、更けていきました。

【最後のトラブル】

 翌朝は、午前5時半もホテルを出発。タクシーで空港へと向かいます。渋滞もなく空港へ到着、トランクに積んだスーツケースを下ろしてほっと一息。
 「あれっ、キャリーバッグがない!」
 なんと、運転手さんがトランクに入りきらず助手席に載せた私のキャリーバッグを降ろし忘れたまま発車してしまったのです。パスポートや航空券は身につけていたので取りあえずは大丈夫ですが、その手荷物にはパソコンや手帳も入っています。ホテルに連絡するも、タクシー会社名もわからず、その場で立ち尽くす私たち。ただ待つしかありません。20分ほど待っていたでしょうか…。その運転手さんが我々を降ろした場所に、戻ってきてくださいました。
 「ボストンには良い人が多い。」
 「ボストンが、安全な街でよかった。」
 最後にちょっとしたトラブルはありましたが、無事、現地の子ども達との交流を終え、帰路につきました。

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2009年9月 5日 (土)

第60回華道京展

 9/10(木)~9/15(火)、大丸ミュージアムKYOTO(大丸京都店6F)にて、第60回華道京展が開催されます。京都いけばな協会所属の35流派によるいけばな展で、諸流合同のいけばな展として日本で最も長い歴史を持っています。毎年4月の開催ですが、今年は秋の開催。例年とは一味違った華道京展をお楽しみ下さい。
 家元は前期に招待出瓶、私は通期の出瓶、流派席は前期・後期で作品が変わります。ぜひご覧下さい。私は、9/11の18:20~20:00、9/13の10:00~正午は、会場にいる予定ですので、ぜひお声がけ下さい。なお、前売券のお問い合わせは家元事務局までお願いいたします。

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2009年9月 3日 (木)

「DO YOU KYOTO? ネットワーク」中間報告その2

 本日、京都の伝統文化を担う若手有志による「DO YOU KYOTO? ネットワーク」が、来年2月10日(水)~16日(火)、高島屋京都店の1Fアトリウムで開催するイベントに向けての初会合が、京都市役所内の会議室で行われました。
 会議に先立ち、京都市の細見副市長より、「京都市「DO YOU KYOTO?」大使」への委嘱状を授与していただきました。実は、今年7月の「DO YOU KYOTO? ネットワーク」立ち上げの際に、当ネットワーク顧問にご就任いただいた門川京都市長より「京都市「DO YOU KYOTO?」大使」の第一号となっていただきたいという話が出ていたのです。
 続いて、具体的な議論に入ります。まずは、コンセプトを明確にすべきだということになり、「自然とのふれあい」、「失われていく自然」、「物を大切にする気持ち」、「移ろいゆく京の四季」など、様々な案が出されました。「当たり障りのないイベント名ではなく注目していただけるようなイベント名を設定すべき!」という意見も。
 今後は、「呼びかけ人が出演するステージやトークショー」「環境を意識した作品展示」などと担当を決め、いくつかの小グループに分けて、より細かい調整へと入ります。
 様々なジャンルの若手の知恵が結集する来年2月のイベントをお楽しみに。

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ボストン紀行 その4

【大作いけばな】

 早朝、浴衣姿で子供博物館に向かいます。この日は、11時から現地の子どもたちと一緒に「大作いけばな」の生け込み、午後からワークショップ3回という最もハードなスケジュールです。
 まずは、朝一番に、枝物の切り出しです。「いけばなとは、自然の命を分けてもらうことだ」と実感してもらうため、できれば、子ども達と一緒に切り出したかったのですが、時間の都合で残念ながら、ミュージアムのオープン前に切ることに。水をはったバケツを用意して、レッドオークとビバーナムを切らせていただきました。途中で、ムカデのような虫がたくさんついていることに気付き、刺されないように充分気をつけながらの作業となりました。子どもが刺されるとたいへんですから、かえってよかったのかもしれません。
 次は、花器のセッティングです。前日のうちに準備を整えていただいたステージに、竹花器を運びます。水を含ませたオアシスを入れ、そのオアシスに竹ひごを挿していきます。一から子ども達にいけさせると、統一感がなくなってしまうので、ある程度はこちらでいけておきます。レッドオークとビバーナムは、枝葉を切り調えてオアシスに挿し、アスパラガス・スマイラックスを白の竹ひごに絡ませ、いけあげておきました。 
 午前11時、幼稚園児~小学校低学年くらいの子ども達を集めます。皆、プレゼントした浴衣に身を包んでいます。さあ、BGMがスタートし、ステージの始まりです。小さな子どもたちは竹花器に背が届かないので、順番にステップに上って、ユリやトルコキキョウ、かすみ草を挿していきます。「花の顔を上に向けて好きな場所に挿してね」とアドバイス。スポット・ライトを浴びて緊張している子どもたちの顔が次第にほぐれてきます。楽しみながらいけている子どもたちを見て、他の子供たちも興味を示し、まわりに集まってきてくれました。いけ終った子ども達が一礼すると、観客から大きな拍手が。私と子ども達の合作の完成です。

【ワークショップ】

 この日のお昼は、現地の日本人の方がお弁当を作って下さいました。ご飯に、ロブスターの和え物。どれもたいへん美味で、愛情たっぷりの手作り弁当を、皆でいただきました。
 午後は、ワークショップ。まずはオアシスのセットの仕方を教えます。バケツに深く張った水を用意しておき、子どもたち自身にオアシスを水に浮かべさせ、沈んでから器に入れなおします。指で押さずに、沈むまで待つのがポイント。無理に水に押し付けてしまうと、空気が入り、水がオアシス全体に行きわたらないのです。
 さて、用意した花材は、白のグラジオラス2本と淡いピンクのバラを3本。
 私が子どものころ、母がボール紙に描いてくれた実寸大のいけばなの設計図に合わせて花枝を切り、その絵の通りに花をいけていました。現地の子どもたちにも同じように、実寸大の設計図を用意しました。
 「人間の姿勢と同じ。うつむいているとだらしないけれど、背筋を伸ばすと元気に見えるよね」
 まずは、グラジオラスの先端の折れ曲がっている部分を切り落として、真っ直ぐな部分を使います。
 さあ、子どもたちは、実寸大の設計図をメジャー代わりに、花枝の長さを切り調えていきます。皆、熱心に、花と格闘していました。
 出来上がった作品を手に、自然と笑みがこぼれる子どもたち。
 「いけばなとは、花の命の移ろいに目をとめること。だから、家に帰ったら、器に水を足して花のお世話をしてね」
 「切り落としたグラジオラスも水につけておけば開きます。残ったお花も持って帰って、大切にするんだよ」
 最後にいけばなの心を少しだけ説明して今日の授業はお終いです。この経験が子どもたちの記憶に残り、日本文化を身近に感じるきっかけとなってほしいと願いながら。
 皆、残った花をバッグに大切にしまって持ち帰ってくれました。 

【レセプション】
 
 この日の夜は、ボストン市主催の歓迎レセプションでした。ワークショップ終了後、急いで袴姿に着替え、会場へと向かいます。州議事堂の並びにある市の迎賓館“The Parkman House”は、ダウンタウンの真ん中に位置する公園“Boston Common”の北隣という素晴らしい環境にあります。
 京都市代表団の中の数人は、法被を羽織っておられました。その法被はボストンの皆さんへのプレゼントです。五山や京都タワーなど、京都の風景が描かれています。なぜかそこに亀の絵が描かれていたので、隣におられた京都市長に「なぜでしょうね」とお声をかけたところ、「ウサギとカメの昔話は何を教えていると思う?」とこんなお話をして下さいました。
 一般的な教訓としては「油断大敵」や「コツコツと努力すること」だけれど、ポイントはそれぞれの視点。ウサギは競争相手を見ていた。けれど、カメは目標を見ていた。私はこの解釈が好きなんだ。カメのような生き方をしたい、と。
 ボストンの皆さんとの楽しい夜が更けていきます。Dscf0329Dscf0321

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2009年9月 2日 (水)

ボストン紀行 その3

【建築めぐり】

Stata_2 翌日は、シンポジウムの皆さんの打ち合わせ日。前日に打ち合わせを済ませ、花材のめども立ったことから、私は一日お休みをいただき、建築めぐり。
 地下鉄に乗って、まずはマサチューセッツ工科大学(MIT)へ。MITとハーバード大学は、ボストンの北を流れるチャールズ川(Charles River)を挟んで対岸、お隣のケンブリッジ(Cambridge)にあります。
 最初に訪ねたのは、おそらくマサチューセッツ州で最も風変わりな建築であろうRay & Maria Stata Center(2004、フランク・ゲーリー)です。フランク・ゲーリーは、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館をはじめ、奇抜なデザインで有名。ティファニーのアクセサリーのデザインも手がけています。Ray & Maria Stata Centerも、ポップでおもちゃのような楽しい建築でした。よくこれを形にしたなと感心しきり。

Mit_2

 続いて、MITチャペル(1955、エーロ・サーリネン)へ。広々とした芝生の中に、同じくサーリネンによる講堂と向かい合うように、ぽつんと佇んでいます。落ち着いたシンプルな外観ですが、中に入ると、そこはまさに別世界。H.ベルトイアによるスクリーン状の彫刻にトップライトから降り注いだ太陽が反射してできる光のカーテンは、想像以上の美しさ。見とれてしまい、しばらくその場から離れることができません。外観と内部の印象が対照的で、嬉しい裏切りでした。

Photo_3 今回、私にとって最も印象的だった建築は、ベーカーハウス(1948、アルヴァ・アアルト)でした。MITの寄宿舎であり、前面のチャールズ川に向かって各部屋が配置されています。落ち着いた佇まいを見せるベーカーハウスには、ゆったりとした時間が流れており、もし学生時代をもう一度やり直せるならぜひここで過ごしたいと思える名建築でした。アアルトは、フィンランドを代表する建築家で、家具や日用品のデザインも多数手がけています。有名なのは、アアルト・ベース。入り組んだ湖岸のような断面を持つ花器で、花を引き立てるので私も重宝しています。ちなみに、わが家や使っているテーブルや椅子もアアルトのデザインによるもの。

Photo  さて、再び地下鉄に乗り、ハーバード大学へ移動。ハーバード大学の見どころは、ル・コルビュジエによる北米唯一の建築であるカーペンター視覚芸術センター(1963)です。ディテールが上野の国立西洋美術館とよく似ており、コルビュジエらしい建築です。

Gund  ハーバード大学で、もう一つ面白い建築を発見しました。Gund Hall(1972、John Andrews)です。広々とした大空間の階段教室は、デザイン専攻の大学院生たちのスタジオ。一階のホールでは、丹下健三の展覧会の準備がなされていました。

Photo_2  お昼を済ませて、ボストンに戻り、ボストン公共図書館(1898)を訪ねました。華麗な古典主義建築を数多く残すことになるマッキム・ミード・アンド・ホワイトの出世作。1972年、フィリップジョンソンによって増築が加えられ、新旧2つの異なる建築が並んでいます。名建築ぞろいで大満足の一日でした。
 夕食はイタリアンの“Papa Razzi”。昨夜のロブスターが忘れられず、やはりここでもロブスターのラビオリに舌鼓。翌日に備えて、早めの就寝です。  

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ボストン紀行 その2

【いよいよ出発】

 早朝、京都を出発。大作花器を載せるために、ジャンボタクシーを借り切って伊丹空港に向かいます。成田、シカゴで乗り継ぐ長旅のスタートです。歴史都市の保存・再生をテーマとした京都・ボストン共同シンポジウムのパネリストの一行とともに、ボストンをめざします。特に割れやすい竹ひごは機内持ち込みをお願いするも、国際線は満席のため持ち込みは不可能との返答。スーツケースやゴルフバッグなどが倒れて割れることのないよう、貨物の一番上に置いていただけるように念を押して預けることになりました。 
 飛行機の中でしっかり寝て、ボストンに到着。日本との時差は13時間ですから、現地は同日の夕刻。一路、会場となる子供博物館へ向かいます。緯度は、ちょうど北海道と同じ
くらいですから、気候は京都よりも涼しく快適。現地の方は例年より遅いとおっしゃていましたが、市中では、あじさいの花が見ごろを迎えていました。
Dscf0438 子供博物館では、プログラム担当の茶山さんと、現地でfloristを経営なさっている竹下さんが出迎えてくださいました。ご挨拶を終え、まずは、大作花器の梱包を解きます。一見したところ、大きな問題はないようです。まずは花器が無事到着して、一安心。日本から持参したオアシスを水につけておきます。
 続いて、ステージとワークショップ会場の下見です。メールで拝見していた通りで、こちらも特に問題はありません。ステージの備品やパーティションの配置、照明、BGMなどの詳細を詰め、翌日のうちにステージのセッティングおよびワークショップの下準備をしていただくようにお願いして、初日の打ち合わせを、終えました。
 最後に、子どもミュージアム周辺の木を、実際に拝見しました。レッドオークだけでなく、白い花や赤い実をつけたビバーナムも、写真で見るより小ぶりで締まっています。「これも使える!」
 これで、私の仕事は半分以上終わったも同然です。祖父である家元は、よく「花材7割、技3割」と言います。いけばなは花を美しく見せる技術も必要だけれど、それは、よい花材があってこそ。よい花材を見つけることが、華道家にとって最も重要な仕事なのですね。
 
【子供博物館の京町家】

 今回会場となるボストン子供博物館は、アメリカで二番目に長い歴史を持つ子供博物館。子どもと同伴の大人たちのための博物館です。一番人気は、身体を使うアスレチック。身体障害者や高齢者の生活を知るために、アイマスクをして歩いたり、車椅子に乗って移動したりと、様々な体験型学習が可能。
 この子供博物館の見どころの一つが、30年前、姉妹都市である京都市よりまるごと一軒移築された西陣の町家です。この町家、今では、ボストンの子どもたちにとって憩いの場となっています。交流の歴史を知るにつけて、当時の皆さんの尽力に頭が下がる思いです。

【ロブスター】

 初日の夕食は、全員でとりましょうということになり、“Legal Sea Foods”というシーフードレストランで名物のロブスターとクラムチャウダーを味わいました。ロブスターのあまりの大きさに絶句。往路の航空機の機内誌に、ビジネスマンがしてはいけないことの一つとしてロブスターを食べることがあげられていました。理由は単純で、服が汚れるから。殻の分厚いロブスターを、自らの手でほぐして食べるのはほとんど不可能に思えます。店員さんにお願いして、食べやすいように殻を割ってもらい、皆で頬張りました。
Dscf0290 ボストンの街には、赤煉瓦の建物が多く、1ブロックごとに大きな教会やチャペルが見つかります。京都と同じく古い歴史を持ち、落ち着いた佇まい。また、大学の街でもあり、若い人が多くて安全です。シーフードをはじめ、料理も美味しい。アメリカに住むなら、ぜひこの街に、と胸をはってお奨めできる、そんな街でした。

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ボストン紀行 その1

【ボストン訪問の趣旨】

 8月23日~28日まで、京都・ボストン姉妹都市提携50周年にあたり、京都市代表団の一員として京都市長と共にボストンを訪問しました。
 私のボストンでの役目は、現地の子どもたちに、日本の伝統文化である「いけばな」を紹介すること。会場は、ウォータフロントにある子供博物館(The Children's Museum)です。ボストンの子どもたちと一緒に、ステージ上で「大作いけばな」の生け込みを行い、子ども向けのワークショップも開催することが決まりました。
 また、子ども達だけでなく、多くのボストン市民の方々にも、いけばなをご覧頂こうということで、子供博物館で開催されるレセプションでも「いけばなパフォーマンス」を行うことになりました。

【花器の準備】

 さて、現地でのプログラムが決まれば、まずは花器の手配です。
 ワークョップは1回15人×計3回。そこで、子供博物館のスタッフの方にお願いして、1ドルショップで花器になりそうな器を探すことに。メールで送って下さったたくさんの器の中から、黄緑色のグラタン皿を選びました。器を人数分購入しておけば、子どもたちが器ごと自宅に持ち帰ってもらえます。美しくいける技術を学んでもらうのはもちろんですが、いけあげた花の世話をすることで花の命の移ろいに目を留めてもらうのも大事な目的の一つです。また、予め、オアシス(吸水性スポンジ)を器にぴったりおさまる形状にナイフなどでカットしてもらうように、合わせて依頼しました。
 一方、大作いけばなの花器は、日本から持参することに。太い孟宗竹を使った花器を誂えました。いけばなパフォーマンスも同じ器を使います。竹ひごを釣り糸で好みの形に整え、白と黒に染めれば、モダンな器のできあがり。器に合うオアシスを作っておき、ボール紙で巻いた後、気泡入り緩衝材(プチプチ)で二重に梱包。“BAMBOO”、“FRAGILE”とマジックで大きく書きます。また、花器は、かなりの大きさで規定外となるため、念のため、旅行代理店を通じて、予め航空会社に連絡を入れておいてもらいます。

【花材の手配】

 ワークショップと大作いけばな用の花材は、現地に依頼。日本と米国では、同種の花でも大きさが著しく異なることがあるため(例えば、米国のガーベラの花の直径は日本の2~3倍)、花の大きさや開き具合、茎の長さ、葉の大きさまで、詳しく指定しておきます。
Green15 また、枝物は、floristでは入手困難ですので、会場周辺の木を切らせてもらえるかどうか、現地に尋ねました。こちらもメールで写真を送ってもらいます。葉が大きすぎたり、葉と葉の間隔が間延びしていたりと、使いにくそうなものが多かったのですが、中には、葉も小ぶりで形もおもしろい枝を見つけました。レッドオークです。ぜひ使いたいお願いし、許可を頂きました。

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