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2009年11月

2009年11月22日 (日)

花背山の家

 古来、日本人は、自然とともに暮らしてきました。
 私たちは、床の間に季節の花をいけます。最も身近にある小さな自然です。また、私が住んでいるのは日本家屋で、建具を取り払えば室内と庭が一体となり、家の中にいながらにして自然の中に身を置いていることを実感できます。さらに、街を歩けば、京都盆地を取り囲む三山が私たちを優しく見守ってくれています。人間は自然とともに暮らしている、人間も自然の一部なのだと、常に体感してきたのです。
 しかし、現代人、特に子どもたちは、自然の関わりが希薄になっているような気がします。参考書でメダカの雄と雌の見分け方は学んでいても実際のメダカは見たことがない、また、塾や家の中に閉じこもっているので夕陽を見たことがない、カブトムシに電池を入れようとした…。そんな小学生も珍しくないそうです。
 さて、京都市左京区の山間部にある「花背山の家」で、こんな試みがスタートしました。子供たちが山の家に4泊5日で滞在。野山を駆けまわり、土に触れ、四季の移ろいを愛でる。内2泊は現地の民家に宿泊し、山間部にお住まいの方々との交流の中で、農林業を身をもって学ぶ。自然の脅威や自然の恵みにじかに接することは子供たちにとって、貴重な経験になることでしょう。

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2009年11月20日 (金)

緑の役割

 京都の街並み景観を考える市民シンポジウムに、パネリストとして参加しました。
 景観というと建築規制に目が行きがちですが、京都府立大学の下村孝先生は、緑の役割に注目しておられます。町家とマンションが横並びしている例をあげ、前面に緑を配置すると違和感が軽減されると紹介して下さいました。
 町家とマンションをとけこませる。緑の役割は偉大です。きっと植物が、無機質なものではなく、命を持っているからでしょうね。

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2009年11月19日 (木)

『変動帯の文化』&『虎の目にも涙』

 挨拶上手で知られる京都大学第24代総長、尾池和夫先生の式辞や祝辞をまとめた『変動帯の文化』が出版されました。

http://www.kyoto-up.or.jp/book.php?isbn=9784876989225

 また、上方文化評論家の福井栄一さんが、16冊目の著書『虎の目にも涙』を上梓されました。

http://www7a.biglobe.ne.jp/~getsuei99/

 淡々と気の利いたお話をなさるお二人の新著、スピーチのお手本にぜひご活用下さい。

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2009年11月16日 (月)

「DO YOU KYOTO? ネットワーク」ホームページオープン

 本日、伝統の若き継承者による「DO YOU KYOTO? ネットワーク」のホームページがオープンしました。制作は、未生流笹岡のホームページも手がけてくださっているブリッジコーポレーションさん。私の大学時代からの友人の会社です。ぜひご覧下さい。

http://doyoukyoto.net/

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2009年11月12日 (木)

母校にて

 明日、第25回(2009)京都賞受賞者による高校特別授業が、私の母校である洛星高等学校で行われます。授業を担当なさるのは、英進化生物学者夫妻のピーター・R・グラント氏とB・ローズマリー・グラントさん。お二人への歓迎のいけばなを担当させていただきました。

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2009年11月10日 (火)

貴船もみじ灯篭

 昨日の朝、鮮やかなモミジを見つけました。上賀茂神社前から北へ向かって、山道を上っていくと、貴船の一の鳥居のやや手前に、そのモミジはありました。幅10mほどにわたって水面にふりそそぐような真っ赤なカエデの葉は、流れ落ちる段瀑を思わせます。
 この貴船行きの目的は、11月13日からはじまる「貴船もみじ灯篭」のいけこみでした。毎年、料理旅館「ひろや」さんからのご依頼で、この貴船もみじ灯篭に、家元が花を添えているのです。場所は、ひろやさんのすぐ手前の貴船川の中。この作品は、どたなでも道すがらご覧いただけますので、貴船にお出かけの際は、ぜひお楽しみください。

http://momiji-tourou.jp/

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2009年11月 4日 (水)

経年優化

 雑誌「GQ」の撮影で、三井不動産が麻布十番に建設中のマンションのモデルルームを訪ねました。さすが高級マンションだけあって、ディテールや質感にまでこだわった作りです。
 撮影の際にご担当者のお話をうかがって、私が共感したのは、三井不動産の「経年優化」という理念。建築は、時間の経過とともに劣化する運命にあるけれど、時間経過とともに豊かになるものを作ろうという考え方です。時が経てば、周囲の植栽が成長し、緑豊かになります。人が集まることにより、人と人との交流が生まれます。住み続けることによって、その土地に対する愛着も沸きます。たとえ、建築は劣化しても、別の価値が生み出されるはずだというのです。興味深いことに、この考え方は単なる理想ではなく、実際、年を経るごとに不動産としての資産価値も上昇しているのだとか。
 経年劣化ではなく、経年優化。この街づくりの理念は、いけあげたその瞬間だけではなく、花の命の移ろい大事にするいけばなの考え方に通じます。

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11月1日は「古典の日」 

 『源氏物語』に関する最も古い記述が『紫式部日記』に見られてから、ちょうど千年にあたる昨年11月1日、「源氏物語千年紀記念式典」が開かれ、11月1日を古典に親しむ「古典の日」にすることが宣言されました。
 それから早1年、今年の11月1日には、「古典の日推進フォーラム2009」が開催されました。
 私は会場飾花とともに、パネルディスカッションを担当させていただき、古典にまつわる様々なお話をうかがうことができました。
 文学はインタラクティブで想像力が必要だ、とお話になったのは、直木賞作家の松井今朝子さん。同じ「山」という言葉でも、京都の人は東山を思い浮かべ、関東の人の頭には富士山が浮かぶ。百人いれば百通りの解釈があるからおもしろいのだと。
 また、『枕草子』を引用して、清少納言の見た同じ景色を、現代でも見ることができる京都はとても魅力的だとも。
   春はあけぼの。やうやうしろくなり行く、山ぎはすこしあかりて、
   むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。
 わが家の寝室やお風呂からは、大文字や比叡山が見えます。当たり前のように毎日眺めていますが、実はとても幸せなことなんですね。
 また、金剛流宗家の金剛永謹さんは、代々伝わる貴重な能面を持参し、面(おもて)の傾きを変えながら、我々に見せてくださいました。じっくり見ていると、面が上向きの時と、あごをひいてうつむいた時で、表情が違ってみえるのです。顔の傾きで喜怒哀楽が表現できるのです。それだけでも不思議ですが、その理由がさらに興味深い。
 面の傾きで喜怒哀楽が表現できるのは、能面が左右対称ではなく、左顔と右顔が違うからだそうです。わざと左右非対称に作って、喜怒哀楽を表現する、というのがおもしろい。左右対称の顔は、完璧のようで、かえって無表情なのでしょう。 ちなみに、この能面も、室町前期までは左右対称だったそうです。それが、室町後期以降に、左右非対称になるとのこと。
 左右対称から左右非対称へというこの流れは、日本建築やいけばなにも見られます。日本人の好みが、大陸的なものから日本的なものへと変化していったのでしょうね。

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