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2012年8月

2012年8月27日 (月)

広河原「松上げ」のご報告

 京都市の最北端に位置する山間の集落「広河原」の夜。月明かりが、かすかに照らし出す山の稜線。空を見上げると、そこには満天の星。暗闇の中、高さ約20mの「灯籠木(とろぎ)」が聳え立つ姿は、まるで古代にタイムスリップしたかのような錯覚を我々に与えます。
 広河原の松上げにご招待いただきました。危険と隣り合わせの雄雄しいこの伝統行事、村人たちの結束を強めるために、江戸時代から続いていると伝えられています。昔も今も、山間の集落に暮らす人々にとって、隣人との絆は欠かせません。
 放上松が投げ入れられると、灯籠木の先端に組まれた三角錐のカサは、激しい炎に包まれます。その炎の姿は、まるで龍が踊っているかのよう。その炎を見つめていると思わず吸い込まれそうになります。
 松上げが終わり、男衆が踊りながら組んで観音堂へと移動すると、私の出番。踊りが続く観音堂のすぐ横で献華をさせていただきました。花器は、灯籠木のカサを模して、現地の長老が2日がかりでお作り下さったもの。竹を火であぶって曲げ、三角錐を組み、フジヅルで固定。側面にはカヤを並べます。最近では、危険防止のため、カヤの外側に杉皮をはるようになったようですが、花器は、古式に則ってお作り下さいました。
 私は、カサから立ち上がる炎を、いけばなで表現します。まずは、現地で切らせていただいた檜を大ぶりにいけあげ、昇り龍のような炎の姿を写します。続いて、広河原まで続く鞍馬街道沿いに咲いていた赤のサルスベリを、これまた炎に見立て、流れるように添えました。最後に、カキツバタとカスミソウを加えて、涼やかに仕上げます。
 ちなみに、花器をお作り下さった長老のお一人のご自宅前には美しいカキツバタの池があります。そんなご縁も重ねて、いけさせていただきました。
 いけばなでは陰と陽の関わりを大切にします。火を用いる松上げが「陽」なら、水を用いるいけばなは「陰」。またカキツバタは、陰陽和合の紫を花色に持つ、最高位の花。陰と陽が相まって、美しい京都の伝統行事に、花を添えることができたのなら幸いです。

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2012年8月20日 (月)

9/8 IMAYO「花繚展」

 来る9月8日(土)、ハイアットリージェンシー京都にて、老舗ジュエリーメーカー「IMAYO」さんの150周年イベント「花繚展」が開催されます。
 CEOの今西信隆さんが高校の先輩にあたるというご縁で、私もこのイベントに出演する運びとなりました。「華道」「香道」「茶道」。これら日本を代表する伝統文化の出会いを演出する、京都ならではの典雅な集いです。私が担当するのは、王朝のみやびをテーマとした「いけばなパフォーマンス」。優美な日本文化の競演にぜひご期待下さい。
 この企画は「特別ご招待」ということで、関西中心の百貨店、宝飾小売店の顧客限定とのこと。詳しくは主催者の今与さんまでお問い合わせ下さい。

【 問い合わせ先 】
株式会社今与(担当:竹内様・武田様) 
Tel. 075-211-4152

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2012年8月 7日 (火)

広河原の松上げ

 京都市の北端に位置する左京区広河原では、毎年8月24日「松上げ」と呼ばれる伝統行事が行われます。今年、この松上げといけばなの融合に挑戦します。
 松上げは、福井と京都を結ぶ鯖街道沿いの山間の村々に伝えられて来た、愛宕信仰にもとづく火伏せの神事。白洲正子さんの名著『かくれ里』で取り上げられ、しばしばメディアでも紹介されていますので、ご存知の方も多いかもしれません。
 午後8時半、松明を竹にさして立てた1000本以上の「地松」が点火されると、あたり一面が火の海と化します。続いて、高さ約20mの「灯籠木(とろぎ)」(檜の柱の先端に、竹と杉皮でつくった三角錐のカサを藤蔓で固定したもの)の先端をめがけて「放上松(ほりあげまつ)」を、投げ上げていきます。放上松を一番にカサに投げ入れるのは、男衆にとって最大の名誉です。カサが激しい炎に包まれると灯籠木は倒されますが、そこに丸太を差し込んで高く舞い上げます。この「ツッコミ」は、広河原の松上げだけに見られる特徴です。
 松上げが終わると、男衆は踊りながら観音堂へと移動しますが、ここからがいよいよ私の出番。踊りが続く観音堂のすぐ横で、献華をさせていただく機会をいただいたのです。灯籠木のカサを模した花器を製作し、現地で切った花材を献華したいと、今、構想を練っています。主材として用いるのは、「霊の木」の字をあてることもある檜。
 勇壮な松上げは愛宕神社への献灯であり、私のいけばなは愛宕神社への献華。動と静、火と水が相まって、どんな光景を紡ぎ出すのでしょうか。

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